学習塾の内装工事について
学習塾を新規で開業する場合の内装工事の費用ですが、学習塾は飲食店のように厨房機器などを導入する必要がないため、安価な部類に入ります。もちろん、塾のコンセプトや使用する建材によって工事費用は前後しますが、坪単価にして20万円ほどが相場だと考えてよいでしょう。この記事では、学習塾の内装工事について、安く済ませる方法やレイアウトの方法を交えながらご説明していきます。
学習塾の授業形態やコンセプトを決める
学習塾を始める前に、ご自身のイメージする塾とはどんな塾なのか、その授業形態やコンセプトをしっかり決める必要があります。規模の大きい、主に進学を目的とした一斉指導塾と、少人数制の個別指導塾では、教室の大きさも机の大きさも異なります。ホワイトボードは通常、用意しなければなりませんが、機器に関しては、どんなコンセプトの下で授業を進めていくのかをしっかり考えて導入しましょう。授業形態と学習塾のコンセプトの詳細がまとまったら、物件探しを開始します。
学習塾に適した物件とは
学習塾は、それほど内装にこる必要はありません。ただ、資金はしっかり用意しておきます。これから始める学習塾の規模により「スケルトン物件」「居抜き物件」のどちらにするかを考えましょう。
規模が大きめならスケルトン物件
学習塾の内装工事は、物件が25坪以上の大きさになると坪単価が安くなる傾向があるので、規模が大きめの塾を開業する場合は、スケルトン物件を選ぶとよいでしょう。
規模が小さめなら居抜き物件
反対に、20坪程度の物件で学習塾を開業する場合は、内装が整っている居抜き物件を選んだほうが費用を抑えられる場合が多いようです。このぐらいの大きさの物件なら、喫茶店として営業していた物件など数も多いですし、内装や空調はそのまま使えます。備品の中にも使えるものがあるかもしれません。そのため、よほどコンセプトから外れたような物件でない限りは、かなり内装工事の費用を抑えて開業することが可能です。
学習塾の立地について
学習塾を開くうえで、避けては通れないのが立地選びです。少子高齢化が進んだ街に学習塾を開いても、思うように生徒を集めることはできません。小中学生の子どもを持つ比較的裕福な家庭の多いエリアが立地としては適しているでしょう。
子どもたちは塾のほかにもスポーツや習い事に通っていることが多く、とても多忙です。大手の進学塾なら話は別ですが、やはり家から近い立地の塾は、子どもたちにも親御さんにも大きなメリットです。物件を選ぶ際は、このような立地についても必ず考慮しましょう。
内装工事業者を探す際は相見積り
物件が決まったら、コンセプトに基づき塾の内装工事をおこなうために、内装工事業者を探します。たとえ物件が居抜きであったとしても、完全にそのまま使うことはないはずです。塾の内装にはそれほどお金がかからないとはいえ、新規に開業するわけですから、すべて納得の行く形に整備してから始めるとよいでしょう。
内装工事業者を探す際は、比較サイトなどで求めている条件と合致する業者を複数ピックアップします。そして相見積りにより作業内容や見積りを比較して、どの業者に依頼するか決めます。
ただし、業者を比較検討する際は、もっとも安い業者を選ぶのではなく、「この業者なら理想の内装に仕上げてくれるだろう」という総合的な観点で選んだほうがよいでしょう。業者により工事の価格は異なりますが、同じ内装に仕上げるわけですから、本来なら見積りの金額に大きな差が出るわけではありません。極端に安い見積りや、反対に高い見積りを出してくる業者は避けましょう。
学習塾の内装とレイアウトについて
学習塾は、規模や授業の内容、スタイルにより、生徒の人数や年齢、性別が異なりますので、この辺りをしっかり考慮して内装やレイアウトを作る必要があります。
学習塾の場合、通常の授業をおこなう教室だけではなく、自習室や面談のための部屋も用意しなければなりません。学校で考えるとよくわかりますが、通常、一般教室は校門から少し離れた場所にあります。入口の近くはどうしてもしゃべり声などの雑音が多くなるため、集中できるよう、このようなレイアウトが多いのですが、学習塾の場合も、これを見習うとよいでしょう。
面談などの目的で使うことになるミーティングルームは、生徒だけではなく、親御さんとの面談にも用いるので、可能な限りプライベートに配慮した作りにする必要があります。教室同様、喧噪が耳に入らないことが重要になりますが、さらに、人の出入りの多い部屋近くに設置することは避けたほうがよいでしょう。
自習室は、生徒が自主学習のために使えるスペースです。そのため、出入りが多くなる可能性があります。少し騒がしくなってしまう可能性も否定できません。しかし、コンセプトにもよりますが、自習室にも講師が出入りするようにして、生徒がわからないことを質問できるような環境を作ることも重要です。教室やミーティングルームからは離れた位置に設置するなどの工夫をするとよいでしょう。
このような点についても、内装業者としっかり共有しておくことが重要です。
学習塾の形態で変える内装
学習塾には、規模の比較的大きい「一斉指導塾」と、マンツーマンや少人数のグループで授業をおこなう「個別指導塾」に大きく分けられます。このほかに、コンピュータを利用しておこなう映像学習型の塾などもありますが、ここでは一斉指導塾と個別指導塾に限定してご説明します。
一斉指導塾
一斉指導塾は、学校と同じように、クラス制で授業がおこなわれます。そのため、ある程度、生徒の成績によりクラス分けがおこなわれることが多いようです。規模の大きい塾だと、1クラスに50人以上の生徒が所属している場合もあるので、スペースの問題だけではなく、机やいすも効率よく配置しなければなりません。無理矢理並べると、生徒が不快感を感じてしまいますし、それでは今後、生徒を集めるという点でも不安が残ります。大人数のクラスを設定する場合は、十分なスペースを用意するとともに、通路やほかの生徒との間隔も十分取れるように配慮する必要があります。
個別指導塾
個別指導塾は、小さなグループで授業を進めるのが一般的です。人数が少ないので講師に質問しやすいという長所もあります。生徒それぞれのレベルに合わせてカリキュラムが組まれることも、個別指導塾のメリットだといえます。個別指導塾の内装は、これらの長所を邪魔しないようにデザインすることが重要です。
個別指導塾なら小さな物件でも開業可能ですが、生徒が増えると、いくら時間割を調整してもキャパシティが足りなくなる可能性があります。このような事態を防ぐには、少し大きめの物件を借り、パーティションなどを使って空間を仕切るとよいでしょう。動線をしっかり確保すれば、講師は、それぞれの仕切られたスペースを移動しながら授業を進めることも可能です。
子どもたちだけではなく、親御さんにも好まれる内装を
学習塾は、以前は殺風景な雰囲気でしたが、現在はおしゃれなデザインの塾も増えているようです。英会話スクールのようなポップな内装、カフェのようなおしゃれで落ち着く内装など、それぞれの塾が工夫をこらしています。現在の学習塾は、そういう意味では子どもたちだけではなく、親御さんにも気に入ってもらえるような内装に仕上げると、効果的なアピールになるのではないでしょうか。